触ると冷たい関節。冷やすと悪化。温シップが好き。
慢性化して、気血両虚に。
気血両虚+下半身の痛みと言えば・・・
【基本処方:四物湯+四君子湯(八珍湯)】
血が不足したものを血虚といい、これを補うものを補血剤という。四物湯は補血剤の基本処方。「四物湯を忘れると、女性疾患の治療はできない」といわれている。
No.71(四物湯): 地黄、当帰、芍薬、川芎
適応:血虚
気が不足したものを気虚といい、これを補うものを補気剤という。四君子湯は補気剤の基本処方。胃腸を整えて気を補う、補気健脾の効果がある。
No.75(四君子湯):人参、白朮、茯苓、甘草、生姜、大棗
適応:脾気虚
四物湯と四君子湯の合方剤を「八珍湯」といい、その適応はもちろん、気血両虚である。しかし、エキス製剤には存在しない。
【八珍湯の派生処方】
No.48(十全大補湯):地黄、当帰、芍薬、川芎、人参、白朮、茯苓、甘草、黄耆、桂皮
適応:気血両虚、虚寒
八珍湯にに黄耆と桂皮をくわえると「十全大補湯」となる(ここまでは八珍湯とその派生処方 その1を参照)。これから茯苓と桂皮を除き、防風、羌活、牛膝、杜仲、附子、乾姜、大棗を加えると「大防風湯」となる。
No.97(大防風湯):地黄、当帰、芍薬、川芎、人参、白朮、甘草、黄耆、防風、羌活、牛膝、杜仲、附子、乾姜、大棗
適応:気血両虚、風邪侵入による下半身の痛み
防風と羌活は去風薬で、風邪の侵入も防ぐ。牛膝は駈瘀血薬で、腰・下肢への牽引薬でもある。杜仲は腰痛に。附子・乾姜は散寒止痛、つまり温めて痛みを和らげる(附子・乾姜・甘草は「四逆湯」の組み合わせでもある)。結果として、腰や下肢の痛みに効果がある。
大防風湯は去邪薬よりも補剤が多く配合されている。とうぜん体質の改善も期待できる。
具体的には、寒くなったり、冷えたりすると増悪するような腰痛や下肢の痛みなどが慢性化して、気血両虚に陥った状態に適している。
【投薬時の注意点】
No.97(大防風湯):
地黄を含む→胃弱体質には注意。食後服用をすすめる。
十全大補湯を含む→手足のほてりやのぼせなどの症状がある場合は慎重に。発熱時はいったん中止する。
附子、乾姜→発熱や患部に発赤・熱感がある場合には投与しない。
牛膝を含む→上肢にはあまり効果がない。